シャドウバースの回答詳細

メイジーちゃんとのんびり過ごしたいですね。
最近はもう滅多に猫を被らなくなり、素のままがデフォになってきたメイジーちゃんとのんびり過ごしたいですね。
大晦日の夜、飲み会で遅くなるとだけ伝えて朝出ます。でも飲み会は一次で辞めです。なぜって？家でメイジーが待っているからですよ。帰り道、メイジーには「二次会行く」とだけLINEをしておきます。そう、またドッキリです。メイジーの驚き顔は特に可愛いので仕方ありません。不可抗力です。私は自宅に着き、窓からこっそり中を覗きます。メイジーはなにやら壁に向かって叫んでいました。
「……っあ、あけまして、おめでとう……ございます」
そういえば、今年はメイジーが都会で経験する初めての年末年始でした。私がプロポーズするまでは、ずっと森の祖母と暮らしていたので、おそらく挨拶も言い慣れていないのでしょう。私は静かに玄関を開け、無心に年始の挨拶を唱えるメイジーの背後に忍び寄ります。
「あけおめっ！」
声にならない声をあげ、メイジーはすごい速度で振り返りました。回るおさげが私の顔にあたります。いい匂いです。綺麗な金髪は非の打ち所がないほどで、どんな髪型でも似合います。
メイジーの表情が、驚愕から安堵、困惑、そして羞恥へと変わっていきます。もう真っ赤です。
「み、見てたの……か？」
はい見てました。
「に、二次会は？」
メイジーに会いたくて断りました。
照れて再び赤面。急いで帰った甲斐があるというものです。
「まだ年越ししてないのに私の練習に惑わされて『あけおめ』とか言っちゃったお前の負け」という謎理論で抵抗してくるメイジーを余所目に、テレビの電源を入れます。とりあえず紅白。つまらなさそうなところでガキ使と往復すればいいでしょう。
二人で鍋をつつきながら、のんびり話をしました。今年のこと、来年のこと、その先のこと。詳細は恥ずかしいので割愛します、すいません（笑）
メイジーは意外にも演歌が気に入ったようで、ガキ使に行くタイミングもありませんでした。途中で年越し蕎麦を茹で始めたりしながら、鍋の〆のラーメンも完食し、もう50分になりまひだ。ついに年越しです。メイジーがそわそわし始めたのを感じた私は、「仕事の電話が長くなる」とだけ伝えて一旦家を出ました。そして窓からまた覗きます。
私が家を出たのを確認し、メイジーはキッチンに走りました。しばらくすると、手にはわずかな蕎麦。あれは年越し蕎麦に使う分だったはずですが、0.1人前分くらい、本当にわずかに茶碗についでいます。おもむろに席に着くと、なにやらスマホをいじり、恐る恐る箸を手に取り、ゆっくりと、ぎこちなく蕎麦を数本つまみ、咥えました。勢いよく啜ろうとしたはいいものの、大きく噎せて咳き込みました。苦しそうな顔もちょっとイイかもしれません。
そういえばメイジーは都市に来て日が浅いままです。年越し蕎麦はもちろん、蕎麦も食べたことがないことも十分あり得ます。メイジーは何度か試した挙句、啜ることを諦めたようでした。私は玄関に戻り、わざと大きく音を立てて家に入りました。部屋では、メイジーがもう二人分の蕎麦をついで待っていました。スマホの画面は露骨に伏せて置かれていましたが敢えて触れません。tvでは紅白が終わり、ゆく年くる年になりました。二人で向かい合います。俯きがちに目をそらしていますが、ゆっくりと、おずおずと目線が上がり、目が合います。上目遣いもよく似合います。
0:00。
「あけましておめでとうございます」
練習の甲斐あってか、メイジーの挨拶は意外としっかりできていました。メイジーも心なしかドヤ顔です。
そして沈黙。メイジーは箸を取ったっきり、中々年越し蕎麦に手をつけません。私はそれをニヤニヤしながら見ています。メイジーは悔しげに顔を上げると、私に一言。
「見てたな？」
見てました。
箸でつまんだまま動かないメイジーにトドメを刺さんとし、私は蕎麦を思いっきり啜りました。異常な辛さが舌と喉を突き刺し、私は噎せました。
「あーっはっは、なーんてな！激辛蕎麦は美味しいか？あけおめ！あけおめ！ハハハ」
立ち上がり、凄まじいゲス顔で爆笑するメイジー。
逆ドッキリですか……大したものですね。メイジーのさらなる成長と、そしてそのゲス顔の可愛さを再確認した新年でした。